魔の3ロックと言う言葉を知っているでしょうか。介護業界にいる方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。
これから、介護施設などを探している方にも一度は知識として知っておいたほうがいいことを纏めておきました。
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目次
魔の3ロックとは?
介護関係者の中では、患者さんへの虐待にあたるものとして、「魔の3ロック」という言葉が存在します。
- 過剰な薬物投与・不適切な薬剤の投与「ドラッグ・ロック」
- 身体拘束「フィジカル・ロック」
- 指示や禁止などを強い口調で伝えて抑圧「スピーチ・ロック」
の3つです。
過剰な薬物投与・不適切な薬剤の投与「ドラッグ・ロック」
これは、言葉のままですが、薬物などを使って意図的に行動ができないようにすることを指します。
夜中に騒がしくする患者などを静めるために使われたりしていました。
身体拘束「フィジカル・ロック」
これはニュースなどでも上げられたりしますが、実際にベッドに拘束などをして動けなくすることを指しています。
指示や禁止などを強い口調で伝えて抑圧「スピーチ・ロック」
こちらは、心理的な部分が多いので判断基準が難しいのですが、態度や言葉で相手に苦痛を与えたり、拘束をしたりすることを指しています。
スピーチロックについては普段使ってしまうような言葉遣いも虐待に該当してしまったり、なかなか判断が大変なので研修や勉強会も行なわれていたりします。
魔の3ロックは高齢者虐待防止法により禁止された
魔の3ロックと言われる介護の中での拘束問題は、平成18年4月1日から施行された「高齢者虐待防止法」によって禁止されました。
実際、10年経った今は取締もされるようになっています。
厚生労働省「高齢者虐待防止の基本」
厚生労働省が出している「高齢者虐待防止の基本」では、高齢者(65歳以上)虐待の例が示されています。
- 身体的虐待
- 介護・世話の放棄・放任
- 心理的虐待
- 性的虐待
- 経済的虐待
これらについて、「自覚は問わない」ことも記載されています。
引用:http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/boushi/060424/dl/02.pdf
厚労省「身体拘束ゼロへの手引き」
また、身体拘束ゼロへの手引きという資料で身体拘束の具体的な事例も記載されています。
- 徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
- 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
- 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
- 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
- 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 行動を落ち着かせるために、内精神薬を過剰に服用させる。
- 自分の意志で開けることのできない居室等に隔離する。
中には、優しさでやってしまう人もいるのではないかという内容もありますが、厚生労働省の決まりではこうなっています。
引用:http://www.dochoju.jp/soudan/pdf/zerohenotebiki.pdf
「スピーチ・ロック」の判断の難しさ
厚生労働省の規定によって、判断がつきやすい「ドラッグ・ロック」「フィジカル・ロック」については、一般的には見られないようになりました。
ただ、スピーチ・ロックに関しては、会話のやりとりの中で出てきてしまうときや、セクハラの対応中に出てきてしまう時もあったりと、上手く判断しにくいのが問題です。
また、「自覚は問わない」で虐待と判定されることになっていますが、それでは介護士が思うように会話ができなくなってしまうのも簡単に想像できます。
このあたりは難しい部分ですが、今後の規定改正を待ちつつ、現場の管理側にいる人達が上手くマネジメントする必要がありますね。
まとめ
普段介護の業界にいない人にとっては、たまにニュースで出てくる「介護施設で拘束・虐待!」みたいなものに過剰に反応してしまうと思います。
「介護施設だとそんなこともまかり通ってしまうのか!」と思うかもしれませんが、きちんと虐待として扱われています。
どうか、安心して預けて欲しいと思う一方で、思い当たる節があればすぐに相談してほしいとも感じております。
介護の業界がより、クリーンになるようにこれからも精一杯仕事をしていければと私は思っています。